La cadetta Yumikko

ソプラノ歌手 森有美子 オフィシャルブログ

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食、コミュニケーション、音楽

最近オペレーター業務があまりにも暇なので、仕事中はひたすらテレビを見たり(室内には大型のテレビが2台取り付けられている。音声は出ないが字幕機能をオンにしているので大体内容は把握できる)よくじっくり考え事をしたりしている。

例えば将来開きたいと思っているサロンカフェのアイデアについて。将来どんなコンセプトでお店を開きたいかと思ったときに思いついたキーワードは「食」「コミュニケーション」「音楽」。これはカフェのコンセプトだけじゃなくて、自分自身のこれからのコンセプトにもつながるとも思うけれど。

やはりどんな時でも重要なのは「食」なのではないかと思う。命をつなぐもの、心をつなぐもの、心と体が休まるもの。疲れている時に甘いものを食べるとか、リラックスしたい時にハーブティーを飲むとか、元気を出したい時に思い切り辛いものを食べるとか、大袈裟なことではなくて、本当にちょっとしたこと、ちょっとしたもの。それを叶えるために、ほんのちょっとした楽しいアイデアや細かい心配りをすること。

私自身が“こういう時には絶対これがしたい、食べたい、飲みたい”というニーズがものすごいはっきりしているので(笑)、目の前にいる相手の、いい意味でのわがままを叶えてあげられるような場所にしていきたい。そしてそれにはその“ほんのちょっと”のこと、がすごく重要なんじゃないかなと思っている。

そして「コミュニケーション」。今回の震災でいろいろなニュースが流れる中、手話で中継をしている姿がよく見かけられるようになった。そうか、耳が聞こえない人は、警報だって聞こえないし、外で何が起こっているのか、耳で知ることはできないのである。そんなの当たり前のことだけど、事実として改めて実感する。そして、外国人滞在者で日本語が不自由な方は、満足に情報が集められず不安な日々を送っているのではないか。情報はある程度は収集できて、避難はできても、母国語を話せる人が周りにあまりいなかったりしたらやはり段々とストレスになってくるのではないか。

こういう時に1つでも多くのコミュニケーション能力を身につけておく必要性を強く感じる。まずはとっかかりとして、とりあえず本屋でDVD付きの手話入門の本を購入。すぐに身に付くものではないだろうけど、思い立ったときに始めておけばいつかは役に立つだろう。あとはできることとしたら1つでも多くの語学を身に付けることかな。まずはやはり英語からか…。中学の時から勉強してきているはずなのに、恥ずかしながらイタリア語ほどは英語は話せない。とっさの災害時にイタリア語がどれだけ役に立つのか…。いや、でもそれもいつか役に立つときは来るだろう。あとはやはりこれから学ぶなら中国語、韓国語か。

そして「音楽」。音楽家は皆、何かしらいろいろな山や谷を越えてきているだろうけど、私は留学して能力的や性格的(笑)にオペラ歌手として活動していくことへの限界を感じてしまったり、大学院時代に気管支喘息を患って、大きな舞台に立つことが怖くなってしまったり、でも良い先生に巡りあえてまた勇気を出して舞台に立てるようになったりで、今はおおむね、誠実に音楽に向き合って充実した音楽活動ができていると思っている。

でも、まだどこかに身体的、精神的なためらいのようなものが残っていて、本当に思い切り体中から声を出し、ありったけの表現をするということができないでいる。どこか1歩離れて客観的に自分が歌っているのを眺めているような感覚。もちろん冷静に客観的に自分の音楽を捉えることは必要なのだけれども。

でも、この間も書いたけれど、この余震もまだ続く中で開催させてい頂いたコンサートで、こんな中来て下さったのだから本当に楽しんでもらいたい、精一杯歌いたいという思いが自然と溢れてきて。ああ、結局私は今まで自分のことしか考えてなかったんだなって、自分の身を守ることしか考えてなかったんだなって。たとえ身体的に問題があっても、精神的に何か不安を抱えていても、音楽には関係ないことで、私達の役目はその目の前にある音楽にしっかりと魂を吹き込むことなんだ。

昔参加したセミナーでイギリス人の歌手にこういわれたことがある。“私達音楽家の使命は、泣きたくても泣けない人の代わりに泣いてあげること、表現したくても表現できない感情を抱えている人たちと感情を共有してあげること”

また他のある尊敬する歌手にも“例えば悲しい曲でも、必ずその中で光がともる瞬間がある。それは聴く人の心の深いところにほほえみをもたらすもの。そしてそれが私達にできるギフトなのだ”といわれたことを思い出す。

音楽って何なんだろう、と改めて思う。その答えは一生でないかもしれないけど、でもやっぱりそうして魂をこめて、改めて音楽に向き合って生きたいと思う。

この3つのコンセプトの共通点は目の前にいる相手に何が与えられるか、なのかな。震災のニュース、ドキュメンタリー番組を見るたびに最近は、自分が今何ができるだろうかということをよく考える。そして、逆に自分が何もかも失った時に何ができるのか、何が手に残るのか、ということも。
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プロフィール

Yumiko Mori

Author:Yumiko Mori
森有美子(ソプラノ)http://twitter.com/yumikomori
東京音楽大学声楽演奏家コース卒業。東京音楽大学卒業後、東京芸術大学音楽学部声楽科を経て2002-03年度ロータリー財団国際親善奨学生としてイタリア・ローマのAccademia Internazionale di Musicaへ留学。帰国後、東京芸術大学大学院古楽科バロック声楽専攻修士課程に入学。特にバロック初期のイタリア音楽を専門に研究し、修士課程を修了。宗教曲、バロック音楽からオペラ、現代曲の委嘱作品の録音など幅広いレパートリーをこなす。2010年には金子みすずの詩集による歌曲集「わらひ」(久保田翠作曲)CDもリリース。また、デュオアンサンブル「Gemelli」、トリオアンサンブル「La Musica Secreta」、リコーダーアンサンブル「Ederebivere」などを結成、様々なタイプのアンサンブル活動にも力を入れている。日本ヘンデル協会、日本イタリア古楽協会会員。趣味は美味しいものを食べること、いろいろなお菓子を作ること。将来、カフェを併設したコンサートサロンを経営するのが夢。

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